激動の時代、仕事の環境も、生活環境も、大きく転換する時代にあって、
自分軸をしっかり定めることの重要性はますます増していくでしょう。

私にとっては、23年前に一新塾コミュニティとの出会ったことが、
自分軸を育むうえで、大きな転機となりました。

今回は、当時の思いを共有させてください。

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事務局長メッセージ

    『私が一新塾コミュニティと出会うまで』

               一新塾代表理事・事務局長 
                       森嶋伸夫
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●地域コミュニティへの憧れ

「出身はどちらですか?」

私がいつも問われて戸惑う質問です。
それは、幼少の頃から中学に入るまで、父の仕事の都合で7ヶ所に移り住
んだからです。
 ずっと地域コミュニティという言葉にこだわり続けてきたのは、地域に
根を下ろす実感を持てなかった渇望感、地域コミュニティへの憧れがあっ
たからかもしれません。こうした思いの延長線上で、社会に出て、最初に
選んだのは住宅メーカーの都市開発事業部での仕事でした。

●万事休す

 1988年入社して3年目に取り組んだマンション事業。
 初めての企画責任者ということもあって、
「これまで誰も手がけたことのない新しいコンセプトの住宅を実現させよう、
何が何でもこの事業を成功させよう」
との気負いがありました。

 しかし、用地取得後、これまで2階建ての建物しかなかったところに
6階建てができるということで、日照時間が減ってしまう近隣住民の方々
の反対に遭遇。数ヶ月たっても交渉の目処が立ちませんでした。
 また、あと1ヶ月のうちに同意書をとらないと開発指導要綱が変更とな
り駐車場の付置義務の比率が大幅にアップするため事業そのものの実現が
不可能になるといった差し迫った状況になりました。住民の方々もそのこ
とをよく知っていて、「私たちがあと一カ月ハンコを押さなければ着工で
きなくなるね!」と言われていて、万事休すの状況でした。

●仕事を通じて、人間観が変わる出来事

 私は残りの一ヶ月間、現場に張りついて、毎日、近隣住民の三十数世帯
のお宅に朝昼晩と通い続けました。何度も門前払いを受けましたが、とに
かく無我夢中でした。一軒一軒まわり続け、残された期日がもう数日とな
りました。

 その頃には私の近隣の方々への関わりも変わっていました。説得するた
めの説明から、いつの間にか、「迷惑かけてごめんなさい。でも建てたい
んです!」そして、ここに新しい共同住宅ができたときのビジョンを語っ
ていました。
 一人ひとりが思い思いの個性あふれる生活を送れる、自分だからこその
ライフスタイルが尊重され、お互いの人生を応援しあう地域コミュニティ
がここに生まれている未来が私の内から湧き出てきました。
 切羽詰った状況に追い込まれたからこそ、私の本心が、絞り出されたの
かもしれません。

 気がつくと、期限ギリギリのところで全員の方々から同意書をいただく
ことができました。しかも、隣接してご迷惑をおかけしてしまう住民の方
から「おめでとう。願いがかなってよかったね!」とのお言葉。

 もう、私は本当にびっくりしました。

 まさか「マンションが建ったら引っ越します」とおっしゃっていた日照
時間の影響を最も受けてしまう方から、笑顔で祝福の言葉をいただくなど、
夢にも思わなかったからです。

 私はこの日を境に大きく人間観が変わりました。
 寛容な住民の方々の人間性に触れさせていただき、私は救われる思いで
した。人間は理屈を超えたところでわかり合える。胸の奥底にある思いを
粘り強く繰り返し伝え続ければ受け止めてもらえる。
 一見困難な状況にあっても、熱き思いの火を自らが消さずにいれば人間
は立場や条件を超えてつながり合える。
 そんな人間に対しての確かな信頼感を、初めて実感した瞬間でした。

●希薄になってゆく都会のコミュニティ

 その後、神奈川県内でのあるニュータウンで、住民の方々にインタビュー
する機会がありました。

「購入動機は、会社の通勤圏内だから」
「挨拶が面倒なので、できるだけ隣人との接点は持ちたくない」
「回覧板をまわすのは面倒なので、インターネットの導入で代替するこ
とはできないか」

といったような回答を多くの方が答えました。

 一生の買い物として、無限の選択肢の中から、この住宅地を選んだ住民
の方々。当然、地域に対しての愛着を持ち、住民同士、同じ地域コミュニ
ティの一員として、生活者としてつながりあえることを望んでいると思っ
ていました。しかし、予想を覆す言葉に、私は愕然としました。

 私は、地域に生きる人たちの人生を応援したかった。生活上の問題があ
っても相互支援しあえる地域コミュニティをつくりたかった。
 子育て、教育、介護、雇用、福祉、環境…。生活に関わるあらゆる問題
に正面から向き合いたかった。葛藤を通じて、自らの思いの輪郭が徐々に
鮮明になっていきました。

 さらに、その思いを強くする出来事がありました。1995年阪神大震災の
後に、私は、建物倒壊の現場に行く機会がありました。焼け野原になった
長田のまちは悲鳴も枯れ果てたような廃墟となっていました。

 無残に倒壊した建物。形あるものは一瞬にして崩壊してしまうはかなさ
を痛感しました。

●新たな一歩

 一新塾と出会ったのはその直後でした。

 一新塾には、自らの根っこの思いを受けとめてくれ、一緒になって
考え、行動してくれる仲間がいました。志を受け止めてくれる仲間の存在
の有難さを実感し、コミュニティの再生は、まず、私たちが志を尊重し、
志を応援し合うことからだと確信を得ました。

 

 

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