今回は、一新塾卒塾生の児島秀樹さんの志を生きるチャレンジをご紹介
させていただきます。

 児島さんは多忙なビジネスマン。仙川町にマイホームを購入したにも
関わらず家と会社の往復だけで、地域とのつながりが持てません。上京
してから、地域に仲間はずっといませんでした。入塾後、ある出来事を
きっかけに一大奮起して、毎朝5時半からゴミ拾いを始めることになりま
した。一人からのスタートでしたが、毎日欠かさず続けることで、地域
の方々が声をかけてくれて一緒にゴミを拾ってくれるようになりました。

 毎日継続することは簡単なことではありませんが、それによって、
もたらされる可能性は予想を超えていたと思います。地域に友人が出来、
地域の問題解決の一翼を担うことで、児島さん自身の人生、そして地域
が変わっていくことになりました。

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塾生活動レポート

『グッドモーニング仙川!プロジェクト』
〜誰もが自分の街のキャスト(出演者)になれるまち〜

                  一新塾34期東京本科
                       児島秀樹

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●地方出身者は東京に居場所がない

 受験戦争の中で、より偏差値の高い高校、大学に進学することが
子どもの役割だと信じ、大学進学とともに上京、就職、結婚、マイ
ホーム購入と人生の階段を駆け上がってきました。

 しかし会社員として毎日の仕事と家庭の往復の繰り返し、このまま
の生活でよいのかと疑問を感じるようになりました。気に入って住み
始めた調布の仙川という街ですが、10年経っても街のことを何も知ら
ないことに気付きました。街には友達もいません。

 これまで仕事や会社のことばかり考えてきたし、週末は別の街に遊び
に出かける日々を続けてきたので当然の結果だったのです。


●転換のきっかけ

 2014(平成26)年6月24日 仙川の街に大量の雹が降り積り、街は
パニックになりました。これは大変だと思い、街の人たちと一緒に
なって無心で雹をかき出しました。このとき自分の街を守っている
という充実感を覚えました。

 ふと街を見渡すと、駅前や公園にゴミが沢山落ちていることに気付き
ました。誰が掃除をしているのかと思いましたが、誰もしている様子は
ありません。ならば、自分がやろうと決心します。それから1年間、
一新塾を卒塾するまで毎朝続けました。出社前の朝5時半から30分間です。

 これだけでも駅前は見違えるようにキレイになりました。このときに、
いかに自分たちが街のことを他人任せにしていて無関心だったかという
ことにも気付きました。誰かがやってくれると思っていても、誰もやら
ないのが現実です。ならば自分から動かなければ何も変わりません。

 同じマンションの住民にも声を掛け、日々のことをブログで発信すると
一緒にやってくれるメンバーも少しずつ増えてきました。一新塾のチーム
メンバーも週末に始発で仙川まで駆けつけてくれたお陰で、挫けそうな
気持ちを何度も立て直すことができました。冬の朝は暗いし寒かったです。
それでも何かが変わると信じて無心でやり続けました。そして、いつからか
「この街で毎朝やっているのは自分だけ」と気付きました。
少し自信がつきました。自分が変わる気がしました。


●新しい自分との出会い

 今でも、相変わらず街にゴミはたくさん落ちています。でも、あきらか
に何かが変わりました。友達が増え、自分の居場所ができたような気がします。
何よりも自分が自信を持ち、街に出ることができるようになりました。
今は、仙川は自分の街だと胸を張って言えます。

 厳しい父親に怒られないように振る舞い、常に失敗を恐れ続けた40年間。
自己表現できない妥協の連続の中で、自分の存在意義さえ見失いそうに
なっていた自分が、誰からも頼まれていないゴミ拾いを続けることで、
自分の居場所を見つけ、自分を変えることができたのです。


●ゴミ拾いから緑化へ

 ゴミを拾っていると、街のことがよく見えるようになりました。そして、
この街には花が少ないことに気付きます。住み始めたときにはたくさん
あった雑木林もどんどんマンションに変わり、街は殺伐としてきました。

 ここで「もっと花や緑をこの街に増やしていこう」と決心しました。
といっても、花の知識はありません。チームメンバーがガーデン・アド
バイザーの友人を協力者として紹介してくれたお陰で、花の寄せ植え
ワークショップ・イベントを3回開催し、その参加者と駅前や公園の花壇に
花を植えることができました。これを継続するためには「街のガーデナー」
を増やしていくことが必要と考え、自らも花の勉強を開始し、ガーデナー
養成のためのイベントも開催していきます。今では、メンバーの女性が
リーダーとなり街の緑化活動を進めています。


●そして「みつばちプロジェクト」

 ある日、公園にラベンダーを植えたところ、そこにみつばちが飛んできました。
その光景が何とも感動的でした。自分たちで植えた花に集まるみつばち、
そこから採れるはちみつ。仙川で採れた天然ハチミツを地域の人たちと
食べることができたら、どんなに楽しいだろうと思いました。一新塾の
仲間から養蜂家を紹介してもらい、みつばちの巣箱を置く場所を探します。

 最終的には、自宅マンションのゴミ置場倉庫屋上で計画。私の2年に渡る
活動に理解をいただき、管理組合の正式な承認を経て平成28年4月「仙川
みつばちプロジェクト」がスタートしました。1年目は試行錯誤しながらも
約10kg採れましたが、全ては協力してくれたマンション住民や近隣住民、
ゴミ拾いイベントに参加してくれた子どもたちに配りました。調布市から
の助成金などもいただくことで、少しずつ地域の認知度を高めていきました。

 平成28年4月からは毎月のイベント開催をスタート。「街のクリーンアップ」
「駅前や公園の緑化」「みつばちプロジェクト」の3つのイベントを織り交ぜて
開催し、毎回30名程度の地域の方に参加していただくことができました。


●誰もが自分の街のキャスト(出演者)になれるまち

 たかがゴミ拾い、されどゴミ拾い。簡単なことだからこそ、少し勇気を
出してやってみれば誰でも街のキャストになれる。それまで受け身だった
自分の人生が、主体的に動くことで変わっていくことに気付きました。
地方出身者は自分の街に出番がないのではなく、そもそも出番は自分で
創り出すものです。


●同志の中で自分をさらけ出す安心感

 最初は、明確な目標もなく、何か自分の人生を変えたいという気持ち
だけで入塾しました。でも、価値観を共有できる同志の中で自分をさらけ
出す安心感が何とも言えず心地よく、何ものにも代えがたい時間でした。
本当の自分を取り戻すための気づきを与え続けてくれた一新塾には本当
に感謝しています。


●今後の活動

 活動の原点である毎朝のゴミ拾いは、ずっと続けていきます。その上で、
3つの活動をやっていきます。「クリーンアップ仙川!(毎月ゴミ拾いイ
ベント)」「せんがわ緑化部」「仙川みつばちプロジェクト」、この3つ
の活動が有機的につながり、相乗効果を生むような循環を創っていきます。

 「みつばちプロジェクト」では、はちみつを使用したワークショップなど
を行っていますが、地元のはちみつを使うということで、行政や商店街
からも声が掛かるようになりました。2017年にはちみつが40kg採れ、
地元のカフェやレストランで料理やスイーツに使って貰っています。
2018年には、仙川に第二の拠点として近くのビルの屋上にみつばち巣箱設置、
そして市内の観光地である深大寺の近くにも巣箱を設置し、新たなメンバー
を迎えてプロジェクトがスタートします。

 さらには、みつばちプロジェクト参加者の持込企画から「種まく映画部」
という新たな活動も生まれました。環境、食、教育などをテーマにした
映画を地域で自主上映しながら街の暮らしを創っていこうというイベントです。
人と人のつながりを育む場を通して、街に色々な種を蒔いていきます。

 この4年間の活動を通して私は地域デビューをすることができました。
街に友達が沢山でき、自分の街になったことを実感しています。これまでの
自分では考えられないことです。今では自治会をはじめ様々な地域団体
にも参加し、地域づくりを進めています。その上で「誰もが街のキャストに
なれるまち」を創るためには、半径500mの地域活動だけではなく、調布市
全体との連携も必要になってきているということを感じています。近い将来
「グッドモーニング調布!プロジェクト」として調布市全体を巻き込んだ活動
にしていきます。

 そして「誰もが街のキャスト(出演者)になれるまち、調布!」を創ります。


【児島秀樹さんプロフィール】

グッドモーニング仙川!プロジェクト代表
会社員
一新塾 34期 東京本科

1972年生まれ、静岡県出身/建設会社の会社員(一級建築士)/結婚し、家族4人
/調布市仙川町にマイホームを購入/ 2014年に一新塾に入塾。一人で街のゴミ拾い
をスタート/一新塾の仲間と「グッドモーニング仙川」プロジェクトを立ち上げ/
「クリーンアップ仙川」「せんがわ緑化部」「仙川みつばちプロジェクト」
と活動を展開。