今回は、一新塾41期・43期の佐藤豊彦さんのメッセージをお届けいたします。

 

佐藤さんは、脱サラし栃木県那珂川町で地域おこし協力隊員としてご活躍。
一新塾には、往復3時間ずつかけて、ほぼ皆勤賞でご参加いただきました。

 

「高齢になってもずっといられる農村を」をビジョンに掲げ、2018年2月に
一新塾の仲間とともにプロジェクト活動を始動、そして、2019年1月に
「合同会社繋ごう農村」を起業されました。

 

佐藤さんの志を生きる挑戦をお伝えさせていただきます。

 

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塾生活動レポート

        『繋ごう農村』
   〜高齢になってもずっといられる農村を〜

 

    一新塾41期・43期東京本科 佐藤豊彦

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●地域おこし協力隊へ

私は50過ぎに前職の製造業の会社を辞し、新しいキャリアの場所を地方と
して、栃木県那珂川町の「地域おこし協力隊」に就職しました。

技術系社員として会社に入りましたが、辞める直前は結構ハードワークに
なっていて、あるとき体の危機を感じ、これは一度リセットしてもいいかも
しれないと思ったのです。これに合わせたかのように社内でリストラがあった
のもかえって後押しとなり、思い切って飛び出しました。


●根っこにフォーカス

私の趣味の一つにオートバイで日本各地を回ることというのがあるのですが、
休みの日は渋滞のひどい都市部を抜けて田舎に足を向けると田舎はさまざまな
景色、地方独自の味、温泉で私を楽しませてくれます。

この経験があったことが大きいと思いますが、当時は地方、地域という言葉
にひかれて思い切って飛び込んでみることにしたのです。

新しい田舎での暮らし=ローコストで楽しい毎日は、「今までのストレスの
多い仕事とはなんだったんだろう?あくせくと稼いでまで稼ごうとしたお金と
なんだったんだろう?」と考えさせてくれました。

この田舎で今後も暮らしていきたいと思ったころから、この町で起業という
言葉がちらつきはじめました。そこで移住後は少しずつ手伝っていた農家さん
の販売を足がかりにと最初考えたのですが、どうも何かしっくりこない。これ
がなぜなのかわからず悩んでいたときに、見えてきたのが社会起業というキー
ワードと、それを掲げる一新塾でした。

一新塾の講義は起業のテクニックだけを教えるのではなく、根っこは何かと
いうことに徹底的にフォーカスするスタイルでこの中で少しずつやりたいことが
見えてきました。通勤は講義の都度、往復3時間ずつかかりましたが、面白くて
ちっとも苦になりませんでした。


●繋ごう農村のプロジェクト

一新塾に入ってすぐの12月の合宿で大きな気づきがありました。
今まで高齢者の農業の支援と思っていたのですが、合宿の議論の中で実はその
高齢者自身の生活が困難になると、この町を出ざるを得なくなるかもしれないと
いうことに思いが至ったのです。

早速、町に戻って関係者にヒアリングしてみると、このような高齢者はどうも
沢山いそうなこと。町や県のサポートでは手が足りず対応が後手後手に回ってい
ることなどが見えてきました。

そしてもう一つ思い出したのは、こんな出来事でした。
実は現職になる数カ月前に集落に3人しかいない山の中で暮らすおばあちゃん
と出会いました。その方が言ってたのが”こんなになってもここで暮らしたいんだよ”
との一言でした。

これらの気づきから、高齢になってもずっとこの町に住んでいただいて、農業を
続けてもらうことを目的とした「繋ごう農村のプロジェクト」を立ち上げること
にしました。

それでもプロジェクトが立ち上げるかどうかは不安がありました。
なにもない栃木のド田舎で東京からは離れている。しかも、流行りのテーマの
農業ではない高齢者にフォーカスをあてるような形のもので一緒にやりたい人が
いるんだろうか?

でもPJ募集のあと、それはすぐに間違いだったことがわかりました。
あっという間に仲間が集まってくれたのです。


●見えてきたキーワード

プロジェクトがスタートした中で最初に悩んだのが、「どうやったら高齢に
なっても町を離れないで済むのか?」ということ。一見、生活サポートをする
とか、農業手伝いでいいのでは?と思えるこのテーマもいざ現場に出てみると、
農業をやっていて元気な方が非常に多いのです。

数か月悪戦苦闘するのちに見えてきたキーワードが”車”でした。ここでは
歩いていけるスーパーがあるところに住んでいる方は非常に少ないこと。同時に
家と家が離れていて車の運転ができなくなると友達と行き来ができなくなる方が
多いことが見えてきました。このような状態になると半年以内に町を離れてしま
う高齢者が多く、これが過疎化に拍車をかけていたのです。

実際プロジェクト中にも現場では関係者から少なくとも3人がこの理由で町を
離れている話を聞きました。また、国勢調査、商圏などのデータをあたってみると、
驚くことにここは過疎が進んでいるにもかかわらず、2025年までは65歳
以上の高齢者が増え続け、1500人にものぼることがわかりました。また、
実地調査から、このうちの3割が運転困難者、もしくは予備軍と推測されること
もわかりました。

もう一つ忘れてならない大事なのは車の運転はできなくなっても農業はまだまだ
できる高齢者に取って楽しい仕事であるということ。

これらの調査から、目標は高齢者が運転できなくとも安心して住める農村づくり、
具体的には高齢者コミュ二ティづくり、移動販売、そして元気な高齢者の農業支援
という形に軸がさだまりました。


●会社設立

この3つのテーマから来年度はまずは移動販売をやることにし、会社を設立し
ました。会社名は一新塾でのプロジェクトメンバーからの強い希望があり、
プロジェクト名そのままの”合同会社繋ごう農村”としました。

https://繋ごう農村.com

ご存知のように地方でこのような事業をやっていくのは簡単ではありません。
移動販売ですら、この町の密度よりももう少し高くないと商売としてなりたちに
くいのです。そこで、事業化にあたっては徹底的に知恵を絞りました。

事務所は町内にちょうど今年廃校になった小学校があったので、交渉の上、
学校の裏側のスペースを移動販売事業用として借りることができました。設備も
学校にある調理室、冷蔵庫、事務所、事務用機器をお借りすることで、初期投資
をできるだけ抑えました。

また、移動販売車も中古で購入します。また在庫は売上データをもとに徹底的
に絞り、一般的な移動販売の品目数の1/4に絞りました。

これらの工夫で何とか運転困難な高齢者にもおいしいもの、そして食事だけで
なく衣類なども含めてお届けできればと思っています。


●今後の展開

2019年はまず移動販売を皮切りに、次に高齢者の御用聞きを検討します。
そして早ければ後半から次は高齢者コミュ二ティを実現したいと思っています。
高齢者のコミュ二ティは同時に高齢者以外の世代も集まれる場所にする=学童、
イベント実施拠点にもできたらと思っています。

まだスタートラインに立ったところですが、いろいろな工夫の中で地方でも
社会起業ができる可能性が見えてきました。これからもよろしくお願いします。

 

 

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