今回は、一新塾41期の青木裕章さんのメッセージをお届けいたします。

 

都内の大学病院で活躍されていた青木さんは、ある出来事を通じて在宅医療の
現場に飛び込まれます。そして医師として、在宅医療の現場で患者さんに
寄り添う日々を送りながら、一市民として、もっと医療の手前から関わることが
したいと一新塾に入塾、プロジェクトを立ち上げました。

 

「身近な商店街で、気軽にお酒でも飲みながら健康について考える、医療を学ぶ
医学校(メディカルスクール)を生活の場の隣に用意する」をコンセプトに、
東京の北区十条を現場に、活動に奮闘中です。

 

青木さんの志を生きる挑戦をお伝えさせていただきます。

 

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塾生活動レポート

『I WILL. 市民のためのメディカルスクールプロジェクト』

            一新塾41期 東京本科 青木裕章

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●「父とあるがん患者の死」と「在宅医療への転換」

 

私は現在都内で訪問診療を行っている医師です。元々は都内の大学病院に
泌尿器科医として勤務し、当然のごとく治療や研究などで忙しく働いていました。

 

私の父は歯科医師として開業しており、昔から病院嫌いで何があっても病院に
いかない人でした。糖尿病を持病として持っていましたが、父の希望を知ってい
たため全て本人に任せていました。しかし脳梗塞を発症、結果人工呼吸器を装着
され入院しました。その後回復することなく転院先の病院で亡くなりました。

 

その後あるがん患者さんを担当することになりました。その患者さんは病気を
治療するために積極的に抗がん剤治療や新しい治療を行っていました。少しでも
長生きしたいその一心だったと思いますし、それに答えるように治療をしていま
した。しかし残念ながら効果がなくなり、残された時間も少ない状況になりました。
当然最期の時間をどう過ごすか相談しなければならなくなりました。私は少しでも
ご自宅でご家族を過ごされるのが良いのではと思いましたが、ご本人はこんなに
体力が落ちてしまうのであれば、もっと他のことに時間を使えばよかった、
これではちょっとした旅行でさえももう行くことが出来ないと涙を流されました。
自分は何のために治療をしていたのかわからなくなりました。

 

この体験をきっかけに終末期の医療や在宅医療の現場に飛び込むことになりました。


●若い頃から病気や健康について考える

 

高齢化社会が進み、人生100年時代や介護予防、90歳でもイキイキなど健康寿命
を伸ばそうという活動が盛んに行われています。また、医療技術も進歩し今まで
助からなかった病気が治ることや進行が遅くなることが増えてきています。

 

一方で情報が氾濫し、何が正しいのかわからなくなってきています。また独居
の高齢者や賃金格差などから健康情報に関する格差も大きくなっています。


このような社会環境の中、最期の時間を考える機会も失われ、病院や医療関係者
に終末期の人生の決定が丸投げされているのではないかと感じています。その結果
医師と患者の間でコミュニケーションが取れず、様々な弊害が出ているのでは
ないでしょうか。

 

在宅医療の現場では少しでもコミュニケーションが取れるだろうと思っていました。

しかし、実際は多くの患者は高齢であったり、すでに病状が進行していたりと

考える時間がないことを実感し、もっと若い頃から病気や健康について考えること
の重要性を認識しました。


●一新塾への入塾と活動の開始

 

前述の通り、コミュニケーションを改善させる方法、それは教育ではないかと
以前から考えていました。なんとか良い方法はないか、ビジネススクールにも
通い模索する日が続きました。医学の勉強はやはり専門知識が必要ですし、知る
ことのメリットがはっきり見えないとビジネスとして成り立たないと感じていま
した。そんな折、一新塾のサイトを見る機会があり「これだ」と思い入塾説明会
に参加しました。

 

入塾後、市民のためのメディカルスクールプロジェクトを立ち上げ、二人の
メンバーにも恵まれ、勢いのまま活動を開始しました。


●市民のためのメディカルスクールプロジェクト

 

私たちは孤立死を減らすこと、「死」を考えることから健康問題を考えること
をテーマに活動を開始しました。現場は自分が勤務している北区十条です。


6つの箱(一新塾独自の問題解決フレームワーク)を回し、メインの対象者は
一人暮らしの中年男性としました。将来のことを考えず、体調の悪さを自覚せず
放置し、現在の生活が精一杯で、家族が疎遠な上、社会と交流できていない
孤独死予備軍です。

 

そうした方々が、一人でも多く自分の思い通りの最期を迎えられることが目標
です。独り暮らしの高齢者となっても、医療介護に対して主体性を持って生活
でき、「自分の健康状態を把握できている」「自分なりの死生観を持っている」
「地域とのつながりがあり、困ったら相談できる場所や相手がいる」ことを目指
します。

 

そのために、普段ほとんど健康や老後のことを考えていない人たちにも、少し
でも考える機会や場所を提供するという活動です。

 

身近な商店街で、気軽にお酒でも飲みながら健康について考える、医療を学ぶ
医学校(メディカルスクール)を生活の場の隣に用意することがコンセプトです。

『市民のためのメディカルスクールプロジェクト』は3本柱です。

 

一つ目は、「トナリの保健室」(Communication)。医療に対する相談窓口や
医療を考えるイベントを開催します。

 

二つ目は、「へるラボ」(Learning)。eラーニングによる医療や介護の学習、
市民や小中学校への死生学教育、健康状態の自己管理の促進です。

 

三つ目は、「へるす実習室」(Experience)。地域住民や子供達への医療実習
介護施設で介護体験です。

 

まずは、商店街でアンケート調査を行ったり、がんの末期を考えるゲームを
行うイベントを行ったりと、これらは初めての経験で模索する日々が続きました。


幸いプロジェクトのビジョンは評価をいただき、卒塾式では優秀理事賞をいただ
きました。ダルマに目を入れることでやっとスタートラインに立てたようで、
身が引き締まりました。


●今後の展望

 

卒塾後ですが、この活動を継続していくことが当面の目標です。


昨年11月、終末期の自己決定のためのプロセスが「人生会議」と命名された
ことが、厚労省によって発表されました。この名前がどうかはともかく、まず
はこの「人生会議」を広めることを活動の中心にしたいと考えています。

 

また、ホームページ開設と団体の設立を2019年の上半期の段階で準備し、
次回のイベント開催につなげていきたいと思います。

 

活動を通じて、40-50代やもっと若い世代が自分たちの親や家族とこの話し
合いの場を円滑に進めるサポートを行っていく予定です。この一新塾ニュース
で今後も活動の報告やイベントの告知をできるように、活動を続けて行きたい
と思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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