今回は、山岸薫さんのメッセージをお届けいたします。


山岸さんご自身が子育てや介護をしながら就職することの難しさを
体験されたこと、職業相談・職業紹介のお仕事に就かれ、窓口で
たくさんの求職者の方と接せられた体験から、

「誰もが誇りをもって働くことができる社会」をビジョンに掲げ、

一新塾の仲間とともに「Realvoice 誇りある働き方を」プロジェクト

を立ち上げ奮闘中です。

山岸さんの志を生きる挑戦をお伝えさせていただきます。

 

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塾生活動レポート

『Realvoice 誇りある働き方を』

一新塾42期・44期東京本科 山岸薫

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●誰もが誇りをもって働くことができる社会

私が取り組むのは、不本意に非正規労働を繰り返す
年収200万円以下で働く人たちのためのプロジェクトです。
彼らが自分の仕事や役割に誇りを持てる社会を目指します。


●一度レールから外れると戻れない社会

現在、働く人の4割が非正規労働者です。
私は、非正規雇用自体を問題と感じているわけではありません。
就職氷河期、学歴格差、貧困、家庭の格差、病気や出産など
自分の意思とは関係なく非正規雇用になること、一度非正規に
なると戻りにくい社会に問題を感じています。その雇用は簡単に
クビを切ることができ、低賃金で雇えるため、企業や行政から
見て便利です。その分、働く側は常に不安定で貧困、将来の不安
を抱えて生活しなければいけません。


●非正規雇用が増え続けた結果は

1990年ごろから増え始めた非正規雇用ですが、最近ではその様子
が変わってきました。

早稲田大学の橋本健二教授のデータでは現労働者の14.9%が
「アンダークラス」と呼ばれる非正規雇用者で平均年収186万円です。
彼らは子供を持つことが難しいので、貧困は連鎖しなくなっています。
これからは現在安定した生活を送っている家庭の子供たちが、この
アンダークラスに滑り落ちてくると警鐘を鳴らします。

私にも子供が2人います。未来を担う子供達がこのような社会で
生きていくことをとても悲しく、何とかしたいと思います。


●「普通に」働くことの大変さを思い知った日々

私は、中学生のころ、障害のある母を助けられない苦しさから
思春期の神経症になりました。
そのまま受験に失敗、劣等感たっぷりの人生。


そこから這い上がれたのは、10年間のTV番組制作の仕事での経験。
学歴ではなく作品の良さでキャリアアップできる、この仕事で一生
やっていこうと思っていました。

 

しかし、出産と同時に、親の病気 夫の転勤が重なり、退職しました。
千葉に引越してきてからは、子どもが保育園に入れず、収入がないため
帰省して親の看護もできません。

 

やっと保育園に入れ、就職しても子の病気で早退、欠勤が続き、退職
しなければならず途方に暮れる日々。映像制作の仕事にはもう戻れない、
数時間のパートに出ることさえも難しいと自覚しました。同時に、
働く難しさから何かを学びたいと考え、産業・キャリアカウンセラー
を学びました。


●仕事から見えてきたもの

子供が少し大きくなったころ、非正規相談員として
職業相談・職業紹介の仕事に就きました。

相談窓口で求職者は辛い想いを吐き出します。


パワハラやセクハラにあい1時間泣き続ける人。
メンタル疾患になる人・就職活動に失敗し「死にたい」
と本気で考える若者。貧困家庭の事情で進学も就職も
できない少年。

 

彼らは皆「働く意欲」があるのに別の要因で働けなくなった人でした。
だから気持ちが理解できた。何度も足を運んでくれ、少しずつ
元気になる人もいて、お礼の手紙をたくさんいただきました。


●社会的弱者が困るシステム

しかし求職者が困り果てる場面でも、制度や体制も、
その綺麗な名目とは裏腹に、最後には社会的弱者が困るような
システムになっていることが多く、正義感の強い私は何度も上司に
「これでは求職者の為にならない」と訴えました。

 

ある日、がん末期の夫を持つ同僚が不条理な理由で簡単に雇止めになった時、
このままではいけない、何とかしなければ、と強く感じました。


●渡辺照子さんとの出会い

そんな時、渡辺照子さん(一新塾24期)の記事をネットで見つけました。
彼女は同じ企業で派遣を17年続けていたが、派遣法改正が原因で雇止めになり、
最後の出勤日のことを名前も顔も隠さず動画で配信していました。
彼女の言葉一つ一つに涙が止まらなかった。

 

記事はアクセスランキング1位になり、
急速に共感が広がっていくのが感じられました。
これは大きな社会問題だと確信し、一新塾に入塾しました。


●自己責任論

一新塾の仲間と「Realvoice 誇りある働き方を」プロジェクトチームを
結成しました。そして、溜めていた想いから体が自然に動き、千葉県内の
30人の方々に会社からの帰宅時間に最寄駅で、インタビューを行いました。

そこで見えてきたのは非正規労働者、正規労働者ともに
“自分にも他者にも無関心な姿勢”でした。

 

「イヤだけど変えるつもりはない」
「不満があることを知られるとクビになるから構わないで」など…

さらに「非正規労働は自己責任、本人が頑張らなかったのが悪い」
という意見が多く、各データからも、高所得者ほどワーキングプアに
ついて自己責任論が強いことを知りました。

 

この経験からこのプロジェクトを進めることは困難であろうこと、
解決策も簡単ではないことを思い知りますが、一切諦める気はしませんでした。

そこで、「働くことを語る会」を、千葉県内で4回、開催しました。
対象者が名乗り出にくいテーマであり、支援者ばかりが集まりました。


●湯浅誠さんの講義から

自己責任論が強いことを知り解決策に迷ったとき、一新塾での湯浅誠さんの
講義で思い切ってその件を質問してみました。すると「直球では難しい、
気づいたら本人たちが良い位置にいたという道筋を作る」と答えを頂きました。
確かに直球では逆風にのまれてしまいます。

 

また、一新塾の合宿で知った、児童養護施設に寄付をするタイガーマスク運動
が頭に残っていたこともあり、自分らしい泥臭さとTV番組制作時代にやっていた
面白いことで、地域や支援者・応援者達を巻き込んでいこうと考え、
地元千葉で「おとな食堂」を行うことにしました。


●おとな食堂から人材紹介へ

「おとな食堂」では、社会福祉士と話せます。
悩み割引、非正規割引もあり、こどもは無料です。
さらに、おとな食堂のメニューは「サービス残業」という名称のカクテルも
ありますし、、おつカレー(お疲れ!)は300円。
これらの紹介をしたとき、みんな失笑してくれます。

ちょっとユーモラスで敷居が低いこと、しかし、実はフォーラム的な意味を含みます。

 

「働くこと」をテーマにしながら、対象者、地域住民、応援者、企業、
労働組合、学生、こどもが集まり食事をすることで悩みを話せること、
また「友人の会社が募集しているよ」など顔が見える形で新しい情報を
得ることがねらいです。現在は、まだ実験段階。問題は山積みです。

 

しかし、今後も協力者を増やし巻き込みながら、地域とのつながりから、
顔の見える形で、働く人と仕事を結びつけるような取り組みが出来たら
と思います。当事者だからできることを試行錯誤していこうと思います。

 

 

■誰もが志を生きる一新塾

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